永遠な何か

 そんなものはない。

 *

 親というものは、遠い世代の世界観に生きているものだと思っていた。
 しかし、よくよく考え直してみると。
 自分と両親との年齢差は20歳程度。
 学生時代はともかく、社会に出てからは年齢差なんてものはあまり重要視されない。特に、ネットワークを介して人脈が広がるようになったり、さらには子供ができてからは親しくさせてもらっている相手との年齢差も開くばかり。
 10数年くらいの年の差も珍しくなくなった。
 そう考えると、両親と自分の世代はそう離れていないようにも思える。
 そしてその為か、両親たちが暮らす世界は、限りなく永遠に近い速度でゆっくりと流れているように錯覚していた。

 いつ行っても変わらない、両親。彼らが身を置く環境。世界。
 でも、そんな永遠の世界はなかった。